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万里の果てに

日々の日記と好きなものについて

ばっけの天ぷら

ふきのとうのことを、宮城県岩手県のあたりでは「ばっけ」という。そのほうが馴染みがある。ふきのとう、などと言われるとなんとも他人行儀である。

 

学校ではちゃんと「ふきのとう」と教わる。他所の地域の人と話すときに「ばっけ」などと言っても伝わらないことは知っているので、「ふきのとう」と言うことはできる。しかし「ばっけ」は「ばっけ」なのである。

 

「ふきのとうの天ぷら」はまだいい。お品書きの「本日のおすすめ」に筆でこう書いてあったら注文する。(「ばっけの天ぷら」だったらニコニコしながら注文する。)しかし「ふき味噌」はないだろう。あれは「ばっけ味噌」だ。「ふきのとう味噌」でもない。語呂が悪すぎる。あれは「ばっけ味噌」だよ。それ以外の呼び名は認めない。

 

冬が過ぎて春の訪れを最初に教えてくれるのは、ばっけだ。雪の下で着実にいのちを育んでいる。そして、冬の間雪かきをがんばったご褒美のように現れるのだ。

3月にもなると、摘み取られてパックに入ったばっけが産直やスーパーに並ぶようになる。それを天ぷらにしたり、ばっけ味噌にしたり、刻んで味噌汁に放ったりする。春の香りがたまらない。冬を耐えたご褒美に、胸がいっぱいになる。

 

友人に誘われ行った小料理屋で、まさに「本日のおすすめ」に「ふきのとうの天ぷら」があった。ちょうど前日に、この本を読んだばかりであった。

 

 

天婦羅屋さんでのエピソードで、ふきのとうの天ぷらを揚げるときのコツの話が出てくる。葉をきれいに広げて揚げるのが、なかなか自分では難しい。

しっかりと葉が広げられた美しい天ぷらが出てきたのを見て、友人に「これはね」と講釈を垂れる。この友人のお母さんの作る「ばっけ味噌」はとてもおいしい。今年もおすそ分けを期待して、ばっけを摘んで届けよう。

2017.3.18の日記

朝起きてまず犬を洗う。7年前、捨てられていたのを拾った人から譲ってもらった雑種で、何の血が入っているのかわからないのだが、首の周りの毛が厚くてやたらと水を弾く。これってどの犬もそうなの?あと顔の模様と尻尾の太さからシベリアンハスキーが入ってるのではないかと思っているけど、大きさは中型。

 

午後は墓参りに行く。思ったより混んでいない。風が強くて線香に火をつけるのにだいぶ手間取ってしまった。

 

墓石にもトレンドがあるらしく、一時期は「◯◯家之墓」でなく「愛」とか「永遠」とか「やすらぎ」とか彫ってあったり、変わった形のものなんかが流行っていたが、その後は地震対策で縦長でなく横型のものが増えていた印象がある。今回は何やら、塔のようなものが建っているのが目についた。各家の区画の中に、無縁仏とか石灯籠とかとはまた違う、背の高い塔。高さはまちまちで、高い方がいいのかどうかはわからない。縦型の墓石よりも背が高いものも多い。塔には何か書いてあったようだけれど、人様の墓をじろじろと見るのも怪しいので確認はできなかった。

 

花粉症がひどい。明日は外の仕事なのだが大丈夫だろうか。眼鏡を新調したいのだが、いつも行っていた眼鏡屋が潰れてしまってから、どこに行こうか迷っているうちに一年以上経つ。そろそろ重い腰を上げなければ。

2017.3.17の日記

今日は家族が皆帰りが遅いというので、祖母が一人で家にいることになるため早めに帰宅する。といっても19時半になってしまった。祖母は先に夕食を終えてテレビを観ていた。それを確認してもう一度外に出る。

 

徒歩1分のスーパーでバス・ペールエールの瓶を2本と氷結を4本、それから、先ほどラジオで寿司の話をしていたのでそういうものが食べたいと思い、半額になっていた刺身を買った。ラジオのDJは「女子ってサーモン好きだよね~」と不思議そうに言っていたが、サーモンはそれなりの値段でもあまりハズレがないからではないか。サーモン、マグロ赤身、ブリ、イカが入って半額299円。

 

スーパーから出るとなんだかとても暗く感じた。スーパーに向かっていたときは気付かなかったが、その隣の葬祭会館が今日は珍しく一件も法事がないようだった。ここの電気が消えているとこんなに暗いのか。葬祭会館の光に頼るなんてどうかと思うが、田舎の過疎化のまちなのでたくさんある葬祭会館は連日埋まっている。結婚式場は2件が少ない客を取り合っている。どちらが物理的に明るいかは明白だ。

 

帰宅。ジャガイモを皮つきのまま千切りにしてベーコンと炒める。同時にだし巻き玉子を焼いて、祖母が残していたカレーライスのご飯だけを茶碗にとりレンジで温める。すし酢を少しだけかけて混ぜ、冷ます。

 

まずは刺身の一部とジャガイモでビール。一口飲んでから、自分が今日早く帰ってきたのは、足の悪い祖母に何かあったら病院に連れていくなどするためではなかったかと思い出したが、テレビを観ている祖母は元気そうだし、いざとなったらタクシーがある。二口目をぐっと飲む。

 

20時半頃になると祖母は自室に戻った。Mステにチャンネルを合わせると、ちょうど木村佳乃が歌うところであった。V6はもう歌い終わっていた。しまった。

 

冷ましていた即席の酢飯に海苔をちぎって、残りの刺身とだし巻き玉子を乗せて醤油を回しかける。じゅうぶん美味しい。少しご飯からカレーの匂いがしないでもないが、寿司欲が満たされたので良い。テレビでは尾崎豊の息子が歌っている。「曲が尾崎豊っぽくなりすぎたので(遠ざかるべく)ラップを取り入れたりしてみた」とタモリさんに言っていたが、そのラップ部分の語りかけるような声がむしろ尾崎豊であった。

 

気付くと上司から連絡が入っていた。折り返すと、同僚のおばあちゃんが亡くなったという。シフトを調整しなければならない。

 

彼岸の入りであった。明日は墓参りに行く。